「スギ花粉症を克服したい!」といったスギ花粉症で悩まされ続けていた方へ朗報!!
毎年1月から4月頃のスギ花粉が飛散するシーズンに次のような症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか。
・春先の花粉シーズンはくしゃみを連発、鼻水も止まらない ・花粉症で薬が手放せない ・くしゃみ、鼻水だけでなく、目のかゆみ、肌のかゆみもあり仕事や勉強に集中できない ・症状ひどい場合は頭痛もありぐったりする
もはや国民病ともいわれている花粉症は日本の場合ほとんどがスギ花粉によるもので、花粉症を患う方は年々増加傾向にあると言われています。また、近年では花粉症を発症する年齢の低下も問題となり、お子様のアレルギー症状にお悩みの親御さんもおられることと思います。 そんな花粉症はお薬で症状を抑えることが一般的ですが、日本では2014年10月から舌下免疫療法という治療法の保険診療が開始され、約70%の方が舌下免疫療法によって症状が改善、または完治する治療法として注目を集めています。 次からは舌下免疫療法とスギ花粉症の治療法についてお伝えします。
治療法 | 特色 | 効果 | ||
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対処療法 | 薬物療法 | 初期療法 | 花粉の飛散する1、2週間前から薬を使い始めることで、花粉飛散期の症状を軽くすることができます。 | ①症状の出現を遅らせることができます。 ②飛散量の多い時期の症状を軽くできます。 ③併用する薬の量や回数を少なくできます。 |
投薬療法 | 花粉飛散後に薬を使い始めることで症状を軽くします。 花粉症を患っている大半の方がこの治療法です。 |
症状を軽くできます。 但し、眠気や口の乾きなどの副作用がある場合があります。 |
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手術治療 | レーザー治療、アルゴンプラズマ凝固法など | 出力の弱いレーザーやアルゴンガスを鼻粘膜に照射することにより、鼻粘膜を焼灼、もしくは変成させ、花粉やダニ、家のホコリなどに過敏になった粘膜の感受性を低下させる治療法です。 | 症状に大幅な改善が見られる場合があります。 但し、お薬の効き方が人によって異なるように、効果や持続期間も人によって異なります。 また、粘膜が元に戻った場合、花粉症の症状を再発する可能性があります(効果は通常1、2年)。 |
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根治治療 | 原因抗原の除去と回避 | 日常生活において、アレルギーを起こす物質から回避することで症状を軽くします。 外出時にマスク、メガネを使う、外に洗濯物を干さない・・・など |
こまめに実行することで症状をかなり軽くすることができます。但し、日常生活のシーンをかえる必要があるので徹底することが難しいケースが多いです。 | |
抗原特異的免疫療法 (減感作療法・舌下免疫療法) |
花粉に対して免疫をつける治療法であるため、他の治療法と比較した場合、長期的にわたって治癒が期待できる治療法です。 | 体質の改善により、症状が見られなくなるケースもあります。ただし、治療期間が長くなり、重篤な副作用を引き起こす可能性もあります。(詳細は後述) |
上記のように抗原特異的免疫療法は体質改善になるので、花粉症を根治する可能性があります。
抗原特異的免疫療法は体にアレルギーを引き起こす原因に対し、感受性を減少させる治療法で、舌下免疫療法を含み2種類あります。
その1.減感作療法
日本では1960年代に治療薬が開発されて以降、皮下注射による減感作療法が行われてきました。アレルギーを引き起こす原因となる物質の注射用エキスを少しずつ注射にて体内に入れて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。
特異的減感作療法
ご自身のアレルギーの原因(例えばスギやヒノキなど)のエキスを少量ずつ体に皮下注射を行い、徐々に量を増やしてゆき、体にそのアレルギーの原因に対しての感受性を低下させる治療法です。通常、最低でも1年以上は根気よく注射を続けて頂く必要があります。
非特異的減感作療法
先ほどの「特異的」に対し、こちらは「非特異的」な減感作療法です。つまり、いずれかのアレルギーの原因に関係なく、アレルギー反応を抑制する生体物質(ヒスタグロビン)を6回1クールとして皮下注射することにより、アレルギーを起こしにくい体質にする根本療法です。頻回な注射が必要なこと、血液製剤を使うので、血液感染に対して絶対的に安全ということが言えないこと、その割には効果が乏しいことなどから現在はあまり行われていません。
※これら注射療法は当院では行っておりません。
その2.舌下免疫療法
日本では2010年からスギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床試験が行われ、有効性が認識され、2014年10月より保険診療が開始されています。アレルギーを引き起こす原因となる物質のアレルゲンを含む錠剤を少しずつ経口にて体内に入れて、徐々に増やすことにより、体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。 治療は減感作療法と同様に、3~5年かけて体質の改善を図る必要性があります。 毎日同量の錠剤を舌下に含んでいただきます。 根気強く継続する必要がありますが、治療を継続すれば徐々に効果を感じていただけることが多いです。また、減感作療法と違い、注射による痛みや腫れなどの負担がないためお子様での開始していただきやすい治療法であり、当院でもおすすめしています。
減感作療法と比較しても、利点が多い舌下免疫療法はどんな患者様におすすめなの?
- ① スギ花粉の症状を軽減したい、もしくは完全に治したいとお考えになられている方
- ② 飲み薬や点鼻薬を使用しても、症状の軽減を感じない方
- ③ 飲み薬や点鼻薬を使用しても、眠気などの副作用がひどい方
- ④ 長期にわたる治癒を望んでいる方
舌下免疫療法で期待できる効果とは?
目
かゆみや涙の症状が軽減、もしくは消失する
鼻
くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が軽減、もしくは消失する
日々の生活
スギ花粉飛散期の飲み薬の量が減る、あるいは不要になる
治療を続ければ続けるほど、治療効果が高まって根治も期待できる
舌下免疫療法の流れ
血液検査や問診などによりスギアレルギーに対するアレルギー性鼻炎であることが確認できたら、最初の1週間は2,000JAU錠を2週目以降は5,000JAU錠を1日1回1錠服用します。初回は当クリニックで服用し、2日目からは自宅で服用していただきます。
- 検査・診断
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- 血液検査
- 問診
- クリニックで
初回投与 -
- シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU
- 2日目~7日目
(自宅) -
- シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAU
- 7日目に受診が必要です
- 8日目以降
(自宅) -
- シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU
- 1か月に1度は必ず通院が必要です。
*初回投与時は院内で30分間の経過観察が必要となり、17時半までにお越しいただく必要がございますのでご了承ください)
*スギ花粉の舌下免疫療法には2年以内に行なったスギ花粉の採血結果が必要となります。他院で行なっている方は必ずお持ちください。
*採血結果がない場合は検査から行なわせていただきます。
*転院の方は必ずお薬手帳をご持参ください。(お薬手帳がないと処方できない場合があります)
*未成年者は必ず保護者の方とご受診をお願いします。
*大学生・社会人の未成年の方で、保護者の方とご受診いただけない方は、下記の保護者の方の同意書を記入していただきお持ちください。
治療費の目安
3割負担の方の場合、治療費は以下のようになります。
(当クリニックと薬局でのお支払い合計額の概算)
初回投与時 | 約1,300円~1,900円 |
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2回目投与時 (初回投与時から1週間後) |
約1,400円~1,600円 |
3回目投与時 | 約1,800円~2,000円 |
4回目投与時以降 | 約2,500円~2,700円 |
※お薬をもらう薬局によって金額は少しずつ変わります。
※アレルギー検査が必要な方は別途料金が必要です。(約1,500円~5,000円)
※舌下免疫療法以外の診察を受けた場合は別途窓口負担が必要になります。
「是非、舌下免疫療法をしてみたい!」と考えている方に必ず知っていただきたいこと
・スギ花粉の飛散が始まる直前から飛散時期に治療を開始しても効果が薄く、安全性が問題視されているため、治療の開始は6月~12月の間にスタートします。
・必ず全ての方が完治するわけではないことご了承ください。
以下のいずれかがあてはまる方は治療を受けることができません。
- □重度の気管支喘息を患っている方
- □悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
- □5歳未満の小児の方
以下のいずれかがあてはまる方は治療に際して注意が必要です。
- □アレルゲンを使った治療や検査、またはスギ花粉を含んだ食べ物によってアレルギー症状を起こしたことがある方
- □気管支喘息の方
- □高齢の方
- □妊婦の方、授乳中の方
- □抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
- □重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
- □他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬 etc)
- □全身性ステロイド薬の投与を受けている方
- □スギ花粉以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方
注射による減感作療法のようにアナフィラキシーショックのような重篤な副作用の報告はほとんどありませんが、体に免疫を作る治療法であるので患者様によっては重篤な副作用が起こる可能性は否定できません。現状で確認されている副作用としては下記のようなものが挙げられます。
- □腹痛・嘔吐・下痢
- □口腔内もしくは唇のかゆみ・浮腫・感覚異常
- □蕁麻疹
- □喘息発作
- □目や耳のかゆみ
- □喉の炎症や違和感
- □くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- □咳
尚、上記のような副作用はよく見られる傾向にあるので、発症当日は経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。但し、以下のような重篤な副作用がみられた場合は直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。
- □突然のショック症状(蒼白、意識の混濁etc)
- □腹痛や嘔吐などの消化器症状
- □息苦しさなどの呼吸器症状
- □蕁麻疹などの皮膚症状
毎日お薬を服用していただく必要がありますので、根気が必要な治療です。
ただし歯磨きと一緒で慣れてしまえば習慣になり、無理なく治療を続けていただけます。
治療を続けるためのワンポイントアドバイス
・毎日薬を滴下するためのタイミングを決める(お風呂を上がった時、歯を磨くときetc)
・1ヶ月に1回通院するための曜日を決める(第2週目の土曜日etc)